

コラム
仮眠室を会社に設置するメリット・デメリットを解説
2025.02.19

休憩をとりながら集中力を保って仕事をすると作業効率が上がることから、近年、会社に仮眠室を設ける取り組みが注目されています。従業員と会社の両方にとって大きなメリットがあるため、今回はデメリットをふまえながら、仮眠室を会社に設置する際のポイントや、仮眠室にあると便利なものについてご紹介します。従業員にとって魅力的な職場づくりをしたいと考えている経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
仮眠室を設置するメリット

仮眠室を導入することは、従業員の健康や業務の生産性向上に寄与するなどさまざまなメリットがあります。以下に具体的なメリットを4つ、ご紹介します。
効果的に休憩できる
休憩なしに仕事をし続けるよりも、休憩を取り入れることで疲労が軽減され集中力や判断力が回復し、効率よく仕事が進められます。仮眠室があると、休憩時間に体を横にしたり眠ったりすることが可能です。デスクに座った状態やデスクにうつ伏せになるよりも、効果的に体を休ませられるでしょう。眠らなくても、体を横にする状態は疲れをとる効果が期待できます。また、プライベートな空間であるため、人目を気にせずにリラックスして休める点もメリットです。
従業員の健康維持につながる
睡眠不足は、ストレスの蓄積や心身の疲労に直結するため注意が必要です。厚生労働省「令和5年度 健康実態調査結果の報告」によると、日中に眠気を感じる女性は35.7%、男性では37.5%だと報告されています。従業員の中には、残業や連日の休日出勤などが原因で、眠気を感じたまま仕事をしている人がいるかもしれません。仮眠室があると、仕事の合間に睡眠をとれるため、睡眠不足による健康リスクを下げられたり、リラックスすることで仕事のストレスを減らせたりと、従業員の健康維持に役立つはずです。出典:令和5年度健康実態調査の報告(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/001242649.pdf)
生産性の向上が期待できる
緊張状態が続いている精神状態や疲れが蓄積している状態では、仕事に対して最大限の力を発揮するのは困難でしょう。仕事のスキルがあったとしても、仕事の効率が悪かったりミスを起こしたりして、順調に仕事を進められない可能性があります。仮眠室で心身を休ませられると、脳がクリアになり気分転換できるため、パフォーマンスを最大限に発揮しながら仕事ができるはずです。作業効率が上がり、従業員と会社の両方にとって有益だといえるでしょう。
企業イメージの向上につながる
会社に仮眠室があることは、企業イメージの向上につながります。従業員のために働きやすい環境づくりに注力している会社だと認識してもらえるため、顧客や世間からのイメージがよくなるでしょう。また、実際に仮眠室を利用して働きやすさを従業員に感じてもらえると、人材が定着し、組織力を向上させられるはずです。さらに、採用活動でもメリットがあります。求職者に働きやすい職場として認識してもらえると、新しい人材が多く集まり、より組織力を強化できるでしょう。
仮眠室を設置するデメリット

仮眠室を設けることには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。以下に、具体的な内容を3つに分けて解説します。
生産性を低下させるおそれがある
適切な時間の仮眠は生産性を向上させますが、30分以上の仮眠は脳が熟睡モードになるため注意が必要です。熟睡モードに入ってしまい、目覚めが悪くなることで集中力が低下し、逆効果となるおそれがあります。利用時間を定める・アラームを活用するなど、ルールを明確化しておきましょう。仮眠室の快適さによって睡眠時間は長くなりやすいため、仮眠室の設置が仕事の効率低下につながらないよう、事前に運用方法を検討することが重要です。
残業時間が増加するおそれがある
仮眠を労働時間中に行う際は、仮眠時間分の業務が後ろ倒しになることで定時内に仕事を終えられず、残業時間が増えるおそれがあります。仮眠で脳や気分がリフレッシュできたとしても、残業時間が増えて帰宅が遅くなると、睡眠不足やストレス・疲労の原因になりかねません。そうなれば、仮眠室を設けた意味が薄れてしまうでしょう。仮眠しても残業時間が増えないように業務計画と割り当てを工夫し、業務に差し支えない程度の仮眠時間を設定するなどして、対策する必要があります。
管理の手間が増える
仮眠についてのルールを定めたり、残業時間を増やさないような業務計画を立てたりと、仮眠室を設けることで管理作業が増える点がデメリットです。また、長時間利用する・何度も利用するなど、ルールを守らない従業員がいる場合、管理が煩雑になります。管理作業が増えると、本来やるべき業務が滞るため、管理者の負担は大きくなってしまうでしょう。従業員全員が納得できるルールを定めて周知徹底し、遵守してもらうことで、管理者の負担を軽減できる可能性があります。
仮眠室を設置する際のポイント

仮眠室を導入する際には、利用者がリラックスして効果的に休める環境を整えることが重要です。ここからは、設置する際に気を付けるべき点を5つに分けて解説します。
仮眠室として独立させる
仮眠室は、独立させて設置しましょう。仕事をするスペースと仮眠室が分けられていないと人目が気になり、緊張感が取れないことから、リラックスして休めません。ワークスペースと仮眠室が近くにあると、人の声や音が聞こえてくるため仮眠しにくく、仮眠後の作業効率が向上しないおそれがあります。仕事中の人も気を使わなければならなくなるため、お互いにとってデメリットになるでしょう。仕事のスペースとは完全独立させて、利用者が休みやすい環境にするのがカギです。個室を設けられると、なおよいでしょう。プライベートな空間で横になれるため利用者が気兼ねなく休憩でき、仮眠後も効果的に仕事を進められるはずです。
遮光・防音対策をする
光や音を遮る工夫も大切です。外部からのストレスを減らすことで、利用者は快適に休息できるでしょう。遮光カーテンや遮音性が高いカーテン・パーティションの使用がおすすめです。また、部屋の壁そのものに防音材や吸音材、ホワイトノイズを使ったりして、防音効果を高める方法もあります。ホワイトノイズとは、人間が聞くことのできるすべての周波数を同程度の強度でミックスした音で、外部の音を優しくかき消す「サウンドマスキング効果」を持っています。遮光と防音を徹底した仮眠室を設けることで、利用者が質の高い休息をとれるようになり、職場全体の生産性向上につながるでしょう。
男女でスペースを分ける
プライバシーの確保や利用者の安心感を高めるために、男女でスペースは分けましょう。
女性の場合、男性と一緒のスペースで休むことに不安感を抱く人がいる可能性があります。男性の場合も、不当な疑念を抱かれるリスクが減るため、女性・男性両方にとってメリットがあります。また、夜間泊まり込んで仕事をする形態の企業では、法的に男女別の仮眠室にしなければなりません。
3)仮眠室、休養室等の整備
事業主は、夜間に労働者に睡眠を与える必要のあるとき又は労働者が就業の途中に仮眠することのできる機会があるときは、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)の定めるところにより、男性用と女性用に区別して、適当な睡眠又は仮眠の場所を設けること。
設置を検討する場合は、法律面の確認から行いましょう。
利用するにあたってのルールを決める
利用者全員が気持ちよく過ごせる環境を維持するために、明確なルールを設定しましょう。事前にルールを定めて周知徹底すれば、トラブルを防止し、誰もが公平に利用できるはずです。利用する時間や回数、管理者への報告・連絡・相談を意識したルール作りをしましょう。残業時間を増やさずに適切な仮眠をとれる30〜45分ほどの時間を上限として設定し、同じ人が何回も利用して不公平感が出ないように上限回数の設定も必須です。また、誰にも言わずに勝手に仮眠室を使うと、業務に支障をきたすおそれがあります。利用を希望する際には管理者に相談する、戻ってきたら報告するといったルール作りが大切です。予約制にする・管理ツールを活用するなど、管理者の負担が増えないようにしましょう。さらに、使用後は布団などを元の状態に戻し、掃除当番を決めるなど、仮眠室を清潔に保てる体制づくりまで意識できるのがベストです。
アラーム音はバイブレーションにする
アラーム音をバイブレーションに設定することは、ほかの利用者への配慮として非常に重要です。大音量のアラーム音は、ほかの利用者を起こしてしまい、迷惑になる可能性があります。また、外にまで響くレベルの大音量の場合、従業員の集中力を低下させてしまい、業務の妨害になるおそれがあります。バイブレーションに設定すれば、音を立てずに静かな環境を保ちながら、利用者がスムーズに眠りから目覚められるでしょう。イヤホンなどで音楽を聴くときも、音漏れしないように注意が必要です。
仮眠時にあると便利なもの
効果的に休息をとるには、便利なアイテムを活用するのがおすすめです。以下では、仮眠する際に便利なアイテムを3つご紹介します。
アイマスク
遮光対策をしていたとしても、外の光が入ってくる場合があるでしょう。少しの光でも気になって寝付けない人は、アイマスクが役立ちます。光を遮断した状態で横になれるため、効果的に眠れるはずです。アイマスクには多くの種類があり、繰り返し使えるものや遮光性が高いタイプ、丸洗いできるタイプなどがあります。使い捨てタイプのアイマスクもあり、いつでも衛生的に使えるのが利点です。仮眠室に常備しておくと、利用者に喜ばれるでしょう。
耳栓
周囲の音を遮断できる耳栓は、静かな環境を保ちたい場合に有効なアイテムです。独立した仮眠室があったとしても、会社内に存在する以上、音をゼロにすることは困難でしょう。また、何人かが一緒に使う形式の仮眠室では、出入りする音などが気になってゆっくりできない場合があります。できるだけ静かな環境で眠りたい人のために、耳栓の常備がおすすめです。衛生面が気になる場合は、使い捨てタイプのものを活用しましょう。
ひざ掛け
質のよい睡眠をとるには、暑すぎたり寒過ぎたりしない環境づくりが大切です。夏であれば暑さ対策、冬は冷え対策が必要になります。ひざ掛けは、体温の調整に役立つ便利アイテムです。肌ざわりのよいひざ掛けは、温度調整のみならず睡眠の心地よさを向上させられるため、仮眠室にあると便利でしょう。
まとめ
会社に仮眠室を設けると、従業員と会社の両方にとって多くのメリットが得られます。仮眠室を導入するスペースがない場合や本格的な仮眠室までは求めていないという場合、個室型ソロワークエリアのあるレンタルオフィスを利用するのがおすすめです。レンタルオフィスを利用すると、備品を購入・補充する手間や部屋を清掃する手間を省けます。株式会社Merinoriaが提供するWORKPHILは新大阪駅から徒歩2分という好立地で、施錠可能な個室がレンタル可能です。パウダールームやフリーWi-Fiの利用も可能なため、仕事の合間に自分だけの空間で羽を伸ばせます。大阪周辺でレンタルオフィスをお探しの方は、ぜひ一度お問い合わせください。こちらの記事では、レンタルオフィスのメリット・デメリットについて解説しています。ぜひあわせてご覧ください。