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経営資源の基礎知識!ヒト・モノ・カネ・情報について簡単に解説

2024.09.23

経営資源は、企業が事業活動を営むうえで必要不可欠な要素です。経営資源を適切に活かせば、企業は事業を継続できるだけでなく、さらなる成長を目指せるでしょう。この記事では、経営資源を構成する4つの要素である「ヒト・モノ・カネ・情報」の定義について解説します。経営資源を7つの分類に区分した場合の考え方や、経営資源をもつメリットについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

経営資源とは?

企業が経営を継続するために必要な要素を「経営資源」と呼びます。企業の存続には、継続的な利益の確保が不可欠ですが、その利益を生み出すもとになる物資や概念が経営資源です。企業が製品をつくったりサービスを提供したりするためには、経営資源が必要です。経営資源は安定した経営状態を維持するために欠かせないものであり、事業規模の大きい企業ほど、経営資源を多く保有する傾向にあります。経営資源が失われると、企業の経営は悪化し、事業を継続できなくなるおそれがあります。そのため、経営資源は適切に管理し、改善や効率化をはかって企業の成長につなげていかなければなりません。

4つの経営資源の詳細

一般的に経営資源は4つに分類されます。具体的には「ヒト・モノ・カネ・情報」が、経営資源を構成する要素です。「ヒト」は企業に属する人材を指し、「モノ」は製品や機械などの物資を意味します。また「カネ」は企業の資金のことで「情報」はデータやノウハウを指します。

「ヒト」の経営資源

「ヒト」は企業ではたらく従業員などの人材です。モノ・カネ・情報を扱うのはヒトであり、ヒトは経営資源のなかでとくに重要な役割を占めています。たとえ高性能な機械がそろっていても、ヒトがそれを動かさなければ製品は動きません。機械やAIによる自動化が進み、業務の効率をあげる取り組みが増えてきていますが、操作にはヒトの手が必要不可欠です。企業経営は、優秀な人材の確保がポイントになります。教育をおこなって、自社の抱える人材を成長させることも大切ですが、はたらきやすい職場環境を整えたり、公平な評価制度を導入したりしてモチベーションの向上をはかることも、人材を定着させるための対策として有効です。

「モノ」の経営資源

経営資源で「モノ」と表現されるのは、製品やそれをつくるための機械、企業が所有する不動産などです。事業活動をおこなうためのオフィスや備品も、経営資源のモノに含まれます。製品は企業が収益をあげるための源泉ですが、従業員の活動拠点となるオフィスも重要な経営資源です。また、工場などの災害対策として設置するスプリンクラーや火災報知器、自家発電装置なども、経営資源に該当します。モノはお金にかえられますが、大量にもっていればよいというわけではありません。過剰な在庫は資金回転率を低下させ、倉庫代などの保管費用もかさみます。不良在庫を処分する場合は、廃棄費用も発生するでしょう。経営資源としてのモノは、適切な量を所有し、効率よく使う必要があります。

「カネ」の経営資源

企業は、資金として「カネ」を確保しなければなりません。ここでいうカネは現金に限らず、投資による資金運用なども含みます。企業はオフィスの賃貸料、水道光熱費、製品の原材料費、広告宣伝費、給与賃金というような経費の負担があります。カネが不足すれば、従業員に十分な給与を支払えず、優秀な人材の流出を招く可能性があるでしょう。さらに、設備の維持にもカネが必要です。カネが多くあれば、資金を投入して事業を拡大したり、新しい製品を開発したりできます。資金調達のルートは、金融機関からの借り入れやクラウドファンディングを活用した出資、補助金・助成金など、さまざまな選択肢があります。必要な資金を調達し、どこに投資をするべきか適切に判断して、カネを有効活用しましょう。

「情報」の経営資源

IT技術の発展にともない、顧客情報や市場動向などのデータを収集し、分析して経営戦略に活かすことが重要になりました。情報はモノと違って形はありませんが、その価値は非常に高く、顧客により質の高いサービスを提供するためのツールとして活用されています。インターネットの普及により、顧客情報や購入履歴など、さまざまなデータが集まるようになりました。収集された膨大なデータはビッグデータと呼ばれ、ビッグデータを分析して活用することが、利益を生み出すためのカギだといわれています。社員がもつ知識も経営資源の「情報」に分類され、その知識を組織で共有して有効活用することで、経営向上が期待されます。

7つの経営資源の追加視点

マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、経営資源を「7つのS」に分類しています。現在も経営戦略を立てる際の基本的な視点として、広く使われています。7つの経営資源は「ハード面」と「ソフト面」にわかれており、ハード面は「戦略」「組織」「システム」の3要素です。ソフト面は「価値観」「スキル」「人材」「スタイル」の4要素で構成されています。7つの要素はそれぞれ独立したものではなく、相互に作用することで組織の形成に貢献しています。一般的に、ハード面は容易に変革ができ、ソフト面は人の意識が影響するため、変えるには時間を要するといわれています。

戦略の重要性

「戦略」は、企業が目標を達成するために立てる行動指針や計画のことを指します。企業は、他社との競争に打ち勝って自社が生き残るための戦略を立てなければなりません。戦略は企業の方向性を決める「企業戦略」、サービスや商品の展開を決定する「事業戦略」、円滑な事業運営をおこなうための「機能戦略」の3つに分かれています。目標を設定することで、企業が目指すべき方向性が明確になり、組織活動に一貫性が生まれます。社内で重要な事項を決める際は、自社の方向性に合っているかどうかを基準にすれば、意思決定のブレを防げるでしょう。

組織の作り方

「組織」は企業を構成する組織構造を指し、社内における役割や責任の体制がどのようになっているか示すものです。それぞれの従業員が役割を認識して業務に取り組むことで、事業活動が円滑に進みます。たとえば「部門ごとの役割分担はどうなっているか」「どの人材をどの部門に配置するか」「権限をもっているのは誰か」「トラブル時の責任はどこにあるのか」といった決まりごとを、仕組みとして構築します。組織は「機能別組織」「事業部別組織」「チーム組織」の3つで構成されるのが一般的です。機能別組織は、業務内容や目的別に部署を分類したものです。事業部別組織では、それぞれの事業部が意思決定を独立しておこないます。チーム組織は、プロジェクトごとにチームをつくり、独立して活動します。効果的な組織構成ができれば、生産性や業務効率の向上につながります。

システムの整備

「システム」は、会社を管理するための制度や仕組みを意味します。たとえば、従業員の勤怠管理や人事評価制度、給与や休暇についての規定は、経営資源のシステムに該当します。これらのシステムが整うことで、従業員は業務に集中でき、組織として機能できるのです。雇用にかかわるシステム以外にも、会計管理や顧客管理などの仕組みが、システムとして企業の事業活動を支えています。「戦略」と「組織」があっても、システムがなければ円滑な事業活動はおこなえません。企業が事業をはじめるときは、戦略と組織を決定し、そのつぎにシステムを構築することが重要です。

企業と従業員共通の価値観

企業の多くは「企業理念」「行動指針」「企業のビジョン」を策定しています。これらは企業の基盤となる「価値観」であり、企業と従業員が価値観を共有することで、取り組むべき方向性が明確になります。価値観が統一されていないと、組織にばらつきが出てしまい、業務に支障をきたす場合もあるでしょう。会社の目指す目標を周知することによって、従業員間に連帯感が生まれ、業務が円滑に進みます。

専門的なスキルや技術

自社に属する従業員がもっている専門知識やスキルは、経営資源のソフト面に該当します。スキルは業種によって異なりますが、企画力から技術力、営業力、販売力といったものまで、さまざまな種類があります。スキルの高い従業員を増やせば、他社に差をつけ、自社を競争において優位な立場に押し上げることにつながるでしょう。ただし、スキルの習得には長い年月がかかり、優れたスキルをもつ人材を新たに確保することも容易ではありません。自社の従業員にスキルの不足が見られる場合は、スキルアップのための研修や教育をおこなうことも必要です。

知識や経験をもつ人材

従業員の採用・育成にかかわる部分は、経営資源の「人材」にあたります。企業は「採用制度」「教育制度」「評価制度」といった仕組みを整え、人材育成に取り組まなければなりません。従業員の長所を引き出すための教育をおこない、適切な人材の配置をすることは、従業員の仕事に対するモチベーションをあげることにもつながります。

経営のスタイル

経営資源における「スタイル」とは、企業風土のことを指します。具体的には、社風や職場環境、雰囲気、暗黙のルールというような内容です。意思決定がトップダウンなのかボトムアップなのかといった点や、求められる社員像なども、スタイルの一例です。スタイルは従業員のモチベーションに影響を与えるため、企業理念やビジョンとの食い違いのないように調整する必要があります。その企業らしいスタイルを確立することは、組織としての団結力を高め、業務の効率化につながるでしょう。

経営資源をもつことで得られるメリット

経営資源を適切に活かせば、事業を維持するだけでなく、企業としてのさらなる成長を目指せます。経営資源をもつメリットについて正しく理解し、効果的に活用しましょう。

経営基盤の確立

安定した経営をつづけるには、十分な資金や情報、有形資産、人材がそろっていることが条件です。経営資源が豊富にあれば、魅力的な職場環境を整えられ、採用活動にも注力できるため、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。高いスキルや専門知識をもった従業員を増やすことは、競合対策にも有利にはたらきます。企業としての競争力を高めるために、人材教育に力を入れ、企業のビジョンを社員に浸透させて、強い組織を構築しましょう。

競争力の向上

市場での競争で企業が生き残っていくためには、資金や情報などの経営資産を十分に保有し、うまく活用していく必要があります。自社の製品やサービスをユーザーに選んでもらうには、他者との差別化がポイントです。競合他社にはない製品やサービスを提供できれば、企業の独自性が高まり、競争力をさらに強化できるでしょう。

新たなビジネスチャンスの創出

新たな事業を開拓する際も、豊富な経営資源が欠かせません。集めた情報から新しいビジネスチャンスのヒントを得たとしても、資金や技術がなければ実行には踏み切れません。ビジネスを拡大するためには、資金や人材、技術などの要素がそろっていることが条件として求められます。

組織の成果の最大化

組織が適切に機能していることは、事業活動の効率化につながります。経営者から従業員へ企業としてのビジョンを明確に伝えるようにすることで、共通の目標が認識され、従業員同士が連携を取りやすくなるでしょう。指示がきちんと機能することで、業務が円滑におこなわれ、質のよい製品やサービスを提供できます。

自社課題の発見と解決

経営資源の分析を定期的におこなうことは、自社の課題発見につながります。資金の使い道は適切か、人材の育成状況はどうかといったポイントを整理することで、自社の強みや弱みを洗い出します。課題が見つかれば新たな方針を立てやすくなり、どのような解決策を行えばよいか明確になるでしょう。

組織全体の成長

経営資源は、企業の組織を成長させるために欠かせないものです。資金が豊富にあれば、新製品の開発やマーケティングに投資できます。設備や機器がそろっていれば、業務の効率をあげられます。また、スキルや経験が豊富な従業員がいることは、他社にはないアイディアを生み出すことにつながり、差別化を実現できる可能性が広がります。経営資源をバランスよく活用し、組織の成長に役立てましょう。

リスクの分散

経営資源を適切に分配することで、リスクの分散ができます。複数の事業に経営資源を投入しておけば、ひとつの事業がうまくいかなかったとしても、損失は小さく抑えられます。好調な事業でほかの事業の穴埋めをすることも可能なため、企業全体としての安定性を確保できるでしょう。また、経営資源を複数の事業に分散させておくことで、需要の変化や競合の動向などによる市場リスクにも対応しやすくなります。こちらの記事では、会社設立の流れについて解説しています。設立前後のやることリストも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

経営資源は、企業が事業を存続させるために欠かせないものです。経営資源の各要素について理解を深め、適切に管理して企業の成長へつなげましょう。経営資源の「モノ」には、オフィスや設備・備品も含まれます。オフィスの見直しはコスト削減や業務効率化、従業員の満足度向上につながるため、課題を抱えている企業はオフィス環境の改善を検討してみましょう。WORKPHILは、会員制のレンタルオフィスです。レンタルオフィスは、低コストで手軽にオフィスを開設できるのが大きなメリットです。WORKPHILでは、個室完備で3〜6名様までの法人に対応したプランを提供しており、オフィス用品や設備の整った快適な空間でお過ごしいただけます。オフィスの移転を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。